CPAP治療のトラブルシューティング Vol.1「口が乾く」「喉がカラカラ」になる理由と対策
CPAP治療を続けている患者さんから最も多く寄せられる声のひとつが、
「朝起きたら口がカラカラです」 または「喉がカラカラです」
という訴えです。
これはCPAP治療で非常に多いトラブルですが、
実は理由がはっきりしていて、適切に対応すれば改善できます。
その前に、鼻呼吸と口呼吸における加湿機能の違いを理解しておく必要があります。
■ 鼻呼吸と口呼吸の違い(最重要の基礎)
鼻呼吸:吸い込まれた空気は鼻腔内の湿った粘膜や豊富な毛細血管(鼻甲介)を通り、
体温に近い温度(加温)+適切な湿度(加湿) に調整されます。
乾燥した冷たい空気が直接のどや肺に触れるのを防ぎます。
口呼吸:鼻のような加湿・加温システムがありません。
乾燥した空気がそのまま咽頭・気管に流れ、粘膜を乾燥させます。
■ なぜCPAPで口や喉が乾くのか?(医学的メカニズム)
① 口呼吸が起きている
CPAPは「鼻から空気を送り込む治療」です。
CPAP使用中に開口すると口から空気が漏れます。
するとCPAPは回路内の圧を保つため風量を増やします。
すると、さらに口からの空気漏れが増加して、
朝起きると舌までカラカラ という状態になります。
② マスクのフィッティング不良
回路内の圧力を常にモニタリングしているCPAP。
わずかな隙間からのリークでも、それを察知してCPAPは風量を増やします。
すると鼻の加湿機能が追いつかず、鼻だけでなく口腔・咽頭が乾燥します。
③ 加湿不足
リークがなくても、単純に鼻の加湿能力だけでは追いつかない場合は鼻やのどが乾燥します。CPAPに接続する加湿器の併用や加湿レベルの調整が必要です。
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④ 鼻閉(鼻づまり)
鼻が詰まる=絶対に口呼吸になります。
口呼吸になると①と同じ流れで乾燥が悪化します。
(鼻閉はCPAP治療の最大の妨げ)
⑤ 治療圧が高い
無呼吸をコントロールするために気道にかける圧力を患者さんごとに設定します。
しかし、その圧力が高いと乾燥しやすくなります。
また治療圧が高いとマスクの隙間から空気がもれやすくなったり、
口唇が開きやすくなり、リークを起こします。
リークがコントロールできない状態になると①、②と同じ理由で乾燥します。
重症度や無呼吸のタイプなどに応じた治療圧の最適化が重要です。
これらを放置すると
「CPAPが合わない」→中断
の悪循環に陥ります。
解決できることばかりなのであきらめずに専門医のいる外来を受診しましょう。
■ 今すぐできる5つの解決策(簡単・即改善)
① 開口リーク(口からの漏れ)対策
・マウステープ
(毎日使う可能性あるので肌に合うものを探しましょう)
・チンストラップ
(確実です。しかしチンストラップとCPAPマスクを装着すると煩わしいと感じるかもしれません)
② CPAP本体に接続している加湿レベルを上げる
まず最初にやるべき対策。
1段階上げるだけで改善することが多い。
加湿器が付いていない場合はまず主治医に相談してください。
③ マスクのフィッティングを見直す
マスクの種類(鼻孔型・鼻マスク)、バンドの強弱などを見直す。
マスクのサイズが合っていないことやバンドの緩みによるリークは非常に多いです。
④ 鼻閉改善
鼻閉はCPAP治療の最大の敵。
原因:アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、副鼻腔炎など。
鼻閉の原因をしっかり対策することで治療効果も快適さも大幅な改善が期待できます。
まずは耳鼻咽喉科で相談してください。
⑤ 治療圧の調整
強すぎる圧はさまざまなリークを引き起こします。
まずは主治医に相談してください。
■ おすすめのセルフケア
・CPAP対応チンストラップ(口開き防止)
👉参考「チンストラップ」はこちらをご参照ください
・マウステープ(マウスリーク防止)
👉参考「マウステープ」はこちらをご参照ください
イメージが沸きにくいと思うので本サイトの取り扱い商品(セルフケア)の中に
入れておきます。ご参考までに。
■ 専門医としてのまとめ
・「口が乾く/喉がカラカラ」は非常に多いトラブルです。
・CPAPで口や喉が乾く患者さんに対して私がいつも確認していること
- マスクの種類
- マスクサイズ
- 鼻にトラブルはないか
- 治療圧は適切か
・解決できることばかりなのでまずは主治医に相談してください。
・鼻閉対策はとても最重要です(悩まず耳鼻咽喉科を受診してください)