アイマスクは「睡眠の質」を本当に改善するのか? ― 科学的エビデンスから考える、光遮断の重要性 ―
アイマスクは「睡眠の質」を本当に改善するのか?
― 科学的エビデンスから考える、光遮断の重要性 ―
「アイマスクは気休めでは?」
「暗くすれば同じでは?」
こうした疑問に対して、近年の睡眠研究は明確な答えを示しています。
結論から言うと、アイマスクによる“光の完全遮断”は、睡眠の質と脳の回復に実際に寄与します。
① 若年成人を対象とした研究(2023年・専門誌 Sleep 掲載)
GRECO, Viviana, et al.
Wearing an eye mask during overnight sleep improves episodic learning and alertness.
Sleep, 2023, 46.3: zsac305.
2023年、カーディフ大学などの研究チームは、
18〜35歳の健康な男女を対象に、以下の比較研究を行いました。
【研究デザイン】
・アイマスクを着用して睡眠をとる週
・アイマスクを使用しない週
を比較
【主な結果】
・翌日のエピソード記憶(新しい情報を学習する力)が有意に向上
・日中の覚醒度・反応速度が改善
・これらの効果は、深い眠りである「徐波睡眠(SWS)」の時間延長と相関
【結論】
アイマスクは環境光を遮断することで深い睡眠を保護し、
認知機能を高める、安価で効果的なツールである。
つまり、
「しっかり暗くする」こと自体が、脳の回復を後押しすることが示されました。
② 集中治療室(ICU)における睡眠改善のメタ分析
KARIMI, Leila, et al.
The efficacy of eye masks and earplugs interventions for sleep promotion in critically ill patients: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Psychiatry, 2021, 12: 791342.
アイマスクの効果は、医療現場でも確認されています。
【研究概要】
・ICU患者を対象とした複数の臨床試験を統合したメタ分析
・アイマスク+耳栓の介入効果を検証
【結果】
・主観的な睡眠の質が大きく改善
・客観的指標でも
- 中途覚醒の減少
- メラトニン分泌の増加
- REM睡眠の増加
が確認
・不眠に伴うせん妄(急性の認知障害)リスクの低下も示唆
ICUという極めて睡眠環境の悪い状況でも、
「光と音を遮る」だけで睡眠は改善することが示されています。
研究に共通するポイント
― 鍵は「光の完全遮断」 ―
これらの研究に共通するのは、
「わずかな環境光であっても、睡眠の深さを妨げうる」
という点です。
特に次のような環境では、アイマスクの効果が顕著になります。
・夏場の早朝(日の出が早い)
・街灯・車のライトが入る寝室
・カーテンだけでは完全に暗くできない環境
・出張・旅行先のホテル
深い睡眠を最大化するアイマスクの選び方
医学的に見て重要なのは、価格やブランドよりも構造です。
【重視すべきポイント】
・隙間から光が入らないこと
・目や顔を圧迫しないこと
・横向きでもズレにくいフィット感
・長時間装着しても違和感が少ない素材
「暗い=良い」ではなく、
“快適に暗い状態を保てるか” が重要です。
おすすめアイマスクと耳栓をいくつか紹介しています。
👉当サイトのセルフケアをご参照ください。
まとめ(医師の立場から)
・アイマスクは科学的に睡眠の質改善が示されたツール
・耳栓との併用も有効であることが示された
・特に
- 深い睡眠(徐波睡眠)
- 翌日の覚醒度・学習効率
に好影響を与える
・環境光を完全に遮断できない現代の住環境では、
手軽でリスクの少ない睡眠改善手段の一つ
「最近、眠りが浅い」「朝の頭の重さが気になる」
そんな方は、まず“光”を見直すことから始めてみてもよいかもしれません。