その静寂は安全か?睡眠の質を高めつつ耳を守る、正しい耳栓の選び方

現代社会において、騒音によるストレスや睡眠の質の低下は、心身の健康に直結する重要な課題です。

耳栓は、用途や耳の形状、音に対する感受性によって適したタイプが異なります。
目的に合った耳栓を選択することが、快適さと安全性の両立につながります。
本コラムでは睡眠専門医と耳鼻咽喉科専門医の視点から、耳栓の種類とその特性、そして耳の健康を守りながら安全に使用するためのポイントをわかりやすく解説します。

睡眠中に耳栓を使用する際には、火災報知器や緊急時のアラーム等の音が聞こえなくなるほどの過度な遮音は、安全上のリスクを伴います。そのため、環境に応じた遮音レベルを選択することが重要です。


■耳栓の種類と特性

①フォームタイプ(発泡ウレタン)

メカニズム
素材の膨張を利用して外耳道に密着し、高い遮音性を得ます。

利点
物理的な遮音性能が最も高く、かつ安価で入手しやすい点が特徴です。

医学的留意点
挿入時に耳垢を外耳道の奥へ押し込みやすく、耳垢栓塞の原因となることがあります。
また、素材の特性上、使い回すことで細菌が付着・増殖しやすくなるため、清潔な手で扱い、定期的な交換を忘れないことが重要です。

👉参考耳栓:3M Nexcare(ネクスケア) イヤープラグ 1100RP  2ペア(4個)入り


②シリコンタイプ(再利用型) 

メカニズム
耐久性と柔軟性に優れたシリコン素材を使用し、外耳道にフィットすることで騒音を低減します。形状は、イヤホンのようなカナル型や、複数のヒレで遮音するフランジ型など、多様な選択肢があります。

利点
汚れが気になったら水洗いして繰り返し使えるため、非常に衛生的かつ経済的です。また、ウレタン製に比べて装着時の圧迫感が調整しやすく、長時間の使用にも適しています。

医学的留意点
耳の形に合わず、隙間ができると遮音効果は大きく低下します。
自分の耳のカーブやサイズに合ったものを選ぶことが肝要です。

👉参考耳栓:Loop Dream -睡眠用シリコン耳栓


③ デジタル耳栓(ANC:アクティブノイズキャンセリング)

メカニズム
周囲の騒音と逆位相の音波を発生させることで、主に低周波騒音(空調音・エンジン音など)を低減します。
現在市販されている多くの Bluetoothイヤホンには ANC 機能が搭載されており、その意味では、
多くのANC搭載Bluetoothイヤホンは「デジタル耳栓的な機能」を有していると理解できます。

一方で、音楽再生機能を持たず、ANC機能によって騒音を低減すること自体を目的とした専用デバイスも存在します。
こうした機器は、**狭義の「デジタル耳栓」**と呼ばれることがあります。

利点
環境音を抑えつつ、人の声や警報音など、日常生活に必要な音は相対的に聞き取りやすい設計のものが多く、
日常生活やオフィス環境、移動中の使用に適しています。

こんな人におすすめ
「静かな環境で集中したい」「移動中の騒音を軽減したい」といった方には、デジタル耳栓(ANC)が適しています。

👉参考ANC搭載Bluetoothイヤホン:Anker Soundcore P31i


④音楽用・高機能フィルタータイプ

メカニズム
音の周波数バランスを保ったまま、全帯域の音圧を均等に減衰させます。

利点
音質を変えずに音量のみを下げることができ、ライブ難聴(騒音性難聴)の予防に有効です。

こんな人におすすめ
「ライブ会場や演奏の現場で、音質を楽しみつつ耳を守りたい」方に適しています。
大音量環境下で生じる一時的な聴力低下(TTS)や、将来的な騒音性難聴のリスク低減に寄与する可能性があります。

👉参考耳栓:ALPINE HEARING PROTECTION 耳栓 NEW MusicSafe Pro TPR


■まとめ

睡眠において「最も良い耳栓」は一つではありません。

音の種類・生活環境によって、
最適な選択は変わります。

各耳栓の特性を理解した上で、睡眠環境に応じていくつか試しながら、ご自身にとっての最適解を見つけていくことが重要です。

※どのタイプの耳栓を使用していても、耳に痛みや痒みを感じた場合は直ちに使用を中止し、耳鼻咽喉科を受診してください


【監修】
星野哲朗
日本睡眠学会 指導医・総合専門医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医



ブログに戻る