夢はなぜ見るのか? 睡眠中に起こる脳の働き

夢は、脳が「記憶や感情を整理する過程」で生じる現象と考えられています。
人間の睡眠には、大きく分けて【レム睡眠】と【ノンレム睡眠】があります。

かつては「夢はレム睡眠のときだけ見るもの」と考えられていましたが、
研究が進み、ノンレム睡眠中にも夢を見ることがあるとわかってきました。


■ レム睡眠とノンレム睡眠の夢の違い

ノンレム睡眠の夢
脳の活動は穏やかですが、深い眠りの際にも「断片的な思考」や「静止画のようなイメージ」として夢が存在することが確認されています。日中の出来事に近く、現実的な内容が多いです。

レム睡眠の夢
脳活動は覚醒時に近い状態となっています。そのため、ストーリー性が高く、感情を伴う鮮明な夢を見やすくなります。
現実では起こりにくいような奇妙な内容になることも少なくありません。

この違いは、睡眠中に脳が行っている「情報の整理のしかたの違い」によると考えられています。


■ なぜ夢を見るのか:脳のメンテナンス機能

情報の取捨選択と定着
日中に得た膨大な情報を整理し、重要なものは長期記憶へ、不要なものは消去するプロセスで夢が生成されると考えられています。


感情の処理(心の整理)

恐怖や悲しみなどの強い感情を夢の中で再体験することで、その感情の「トゲ」を抜き、精神的な安定を保つ役割があると考えられています。

シミュレーション(生存戦略)
記憶に残る夢にはネガティブな夢、ストレスフルな夢も少なくないとされています。これは嫌な夢や怖い夢を見ることで、現実で起こりうる危機への対処法を脳が予行演習しているという説があります。

夢の多くは、日中に体験した出来事をもとに脳内で再構成されたものです。
ただし、そのまま再生されるのではなく、
形を変えて再構成された記憶として現れます。

一方で、強いストレスやトラウマに関連した夢は、
体験がそのまま再現されることもあります。


■ 夢が生み出すもの

夢は、単なる無意味な現象ではありません。
現実とは少し違う形で考えがつながることで、
新しい発想や創造性の源になるかもしれません。

できることなら、毎日いい夢ばかり見たいものですね。

もっと詳しく知りたい方へ
日本睡眠学会 「睡眠と夢:宮内哲・寒重之」
を参考にしてみてください。


■ 参考コラム

「人はなぜ眠るのか?睡眠の役割と2つの調節メカニズム」
「ヒトは一日何時間眠ればよいのか」
「概日リズム睡眠障害とは?体内時計がずれる原因と6つのタイプ」
「睡眠の悩みはどの科を受診する?睡眠専門医の探し方」
・「冬眠とは? 冬を生き抜くための生存戦略


参考書籍

・「今さら聞けない 睡眠の超基本 (今さら聞けない超基本シリーズ)  電子書籍版
・「睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか (電子書籍)

【執筆】
星野哲朗
日本睡眠学会 指導医・総合専門医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医
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